綴り


少し前だが、検定試験の文章にこういうのがあった。

「沈黙のまま、妊婦達はずらりと並び、事務所の前に立っていた。」

ずらりと並んだ妊婦。なかなか迫力である。

「私たちはストライキに入りました。そう言って、事務長に封筒を差し出した。」

妊婦のストライキ。何だろう。病院側への待遇改善要求だろうか。もっと食事をよくしろ、とか、きちんとした検査をしろ、とか。まさか、要求を受け入れるまで産まないぞ、かな。大変だなそれは。そういう戦術もあるのか。強力だな。

試験を終えて、問題を見直してみる。解答はないけれど、分からなかった単語も引いてみることで、大体答えが分かる。

妊婦達は手に手にスコップやシャベルを持っていた。何でそんなもの持ってるのかな。病院が工事中で、たまたま持ってきたのかな。たぶんそうだろう。辞書を引く。

Ginって妊婦だもんなあ。

・・あれ。妊婦じゃない。妊婦は・・Gim・・

ああ、人夫だった。スコップを持っていたのは妊婦じゃなかった。なんで気づかなかったんだろう、というより、普通は妊婦だなんて思わないわなあー。そうだわなー。

なのに、答え自体は、ほとんど間違ってなかった。どうやって読解したんだろう、私。

こんなこともあった。

新聞記事の翻訳。gwanが管弦楽だというのはすぐ分かった。でも、その管弦楽は、高齢者が集まっているらしい。「管弦楽のお婆さん」になっているのだ。

バイオリン弾いて六十年、とかいう人々の集まりなのか。歴史の重みを感じるなあ。やっぱり戦火を乗り越えてきたんだろうなあ。演奏を禁じられた時期もあったろうし。

gwanhamo。音の深みにも素晴らしいものがあるのに違いない。聴いてみたいなあ。

・・あれ。これ、読み方、ハモニ、だな。ハモニ、ハモニ。何回読んでも、ハモニ。

あっ。ハーモニーか。管弦楽のハーモニーかー。

お婆さんはhal。ハルモニ。なーんだー。でも、管弦楽のお婆さんの方が、ちょっと文学的で想像力をかき立てられて、いい感じだと思うのだが。違うか。違うな。

まだある。

「ペク社長が海辺に立ち、まるで生き物のように引いては返す波を眺めていた。」

擬人法を使っているものを選びなさい、だったから、答えはすぐ分かった。

それにしても、ペク社長、何か辛いことでもあったのかなあ。会社が潰れちゃったのかなあ。いや、そういうこととは限らないな。娘さんが結婚するとかな。関西では、結婚式でお父さんは泣き通すらしいけど、韓国のお父さんはどうなんだろう。涙をみんなに見られるのが嫌で、海辺まで走ってきたのかな。ということは、タキシードかなんか着てるのかな。花束握りしめてたりなんかして。濡れるよ。風邪引くよ。

それにしても、わりと珍しい名前だなあ。漢字は何だろう。

あれ。dubor、そのまま辞書に載ってる。有名な社長さんなのかな。

・・・白沙場。白い砂浜。だいたい、「が」じゃなくて、「の」になってるし。

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