夜に口笛を吹くと蛇が出る。

最近の小学生に尋ねたら、この言葉を知っているのは何パーセントなんだろう。ついでに、新橋の酔っぱらいサラリーマンにも訊くといい。

コマーシャルにも朝方と夜型はあるのだと思うが、朝となく夜となく聞かされるコマーシャルの音声の中で、どうしても我慢できないものがある。

それはNISSANのコマーシャル。窓の外の景気を眺めながら外国人の女性が口笛を吹く。うるさい。しかもしつこい。三菱がコマーシャルできないのがそんな嬉しいか。かといって三菱が好きなわけでもないが。

どのみち車の免許すら持っていないのだから車を買うこともないし、コマーシャルはいずれ変わるから、と思っていたら、また新しい型の車が出るらしくて、それも口笛。

車はにっさんのもの、じゃなくて、おっさんのもの。だから、男が吹くなる口笛なるもので客寄せしたいのだろう。

だから、通販生活のコマーシャルのバックも口笛なのだ。

実は通販生活は定期購読しているので関係ないとは言い切れないのだが、軽快でフレンドリーだけど世の中のことを考えています的な感じを出したいから口笛、というセンスが、団塊。

と思ったら、まだあった。Belco。ベルコ、と読む。冠婚葬祭、ベルコ。たぶん、神戸のアナグラムか何かなのだと思う。お洒落な神戸の会社も口笛か。

北朝鮮の歌を、聴いたことがある。韓国語のスキットにあったのだ。

そのなかで、哀しげに夜空に響く口笛の音は、ふぃふぃほー、と表現されていた。

なるべく政治色の薄い歌を選んだのだろう、「工場のノルマを達成して嬉しい」という歌詞もあったものの、「好きなあの子」のことを思う場面もあった。

おそらくその口笛は、疲れ切りすり切れた足下に、明かりもまばらな街角に、低い軒下のオンドルの燃料もままならない家々の間に流れ、ちっぽけな蛇すらも呼ばず、弱々しく消えていくのだろう。

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