「ザ・ベストテン」という歌番組の回想番組。あ、山口百恵だ。あんまり好きじゃなかったけど、やっぱりきれいだな。

それにしても、暗い瞳。あの瞳を、どこかで見た気がする。

加藤鷹というAVの男優がいる。少し西城秀樹に似ていて、その技術はとても高いのだそうな。

関西の番組にゲスト出演していた彼は、関西芸人や関西文化人にぐるりと取り囲まれて、しかし終始にこやかに、やや下世話な話題にも誠実に答えていた。

こんな仕事でも、一生懸命やっていれば認めてもらえるもんなんだなあ、って。

細すぎる身体を傾けて笑う彼の瞳はしかし、あまりにも、暗かった。

ピンク業界に、少しだけ関わっていた時期がある。ダイヤルQ2というシステムに、法の網が掛けられる前の荒稼ぎ。

ネタ探しに、ピンクビデオを見る。SMに興味はないし、人妻なんて見ても仕方ないし、なんとなく手に取ったのが、クリームレモン、だった。

ポルノ女優のアイドル化の走りだったと思う。ソフト系のピンクアニメ、ショートストーリー仕立て。演じている声優が時々顔を出しながら、いろいろつっこみを入れる、という設定だった。それが結構うまくできていて、時々声優が素に戻ったりするのが面白くて、肝心のアニメのところは飛ばして、彼女たちの会話だけ見て笑ったりしていた。

その彼女たちの目が、とてつもなく、暗かった。

あえぎ声を出すときには、彼女たちの顔は映らない。最初の挨拶や、話の切り替わりの時に、「ねえ、こんなのひどいって思わない? 女の子の気持ちちっとも考えてない」「でも彼の気持ちも分かるなあ、急にあんな下着つけて来られても」「ひびって引いちゃうよねー」というような会話の時にだけ顔が、やけにアップで写るのだが、その目が、暗かった。

加藤鷹も、同じ目をしていた。暗く、輝きの全くない、くたびれたランドセルのような暗い瞳。

おそらく、瞳孔が少しも開いていないのだろう。心の窓だと言われる瞳を限りなく閉じることで、彼は、彼女は、自分を守る。そんな仕事でも、私には守るべきものがある。自分の全てをさらけ出しているわけではない。

荒稼ぎにはすぐに飽き、法律の手がNTTにも伸びてきて、アメリカの窓がダイヤルQ2など吹き飛ばす勢いでパソコンを普及させ、Q2は2ちゃんねるになった。

ところで、「ザ・ベストテン」に最初に登場したのは野口五郎で、曲は確か「19時の街」だったと思うけど。

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