フリーズプリーズ


ホームページを作ろうと思えるようになったのは、パソコンを買って三カ月が経った頃だった。

インターネットはすぐできた。システムに必要なソフトはほとんど入っていたからだ。電話と繋ぐだけでできた。

けれど、メールを自由に送受信できるようになるまでに、半月が必要だった。

受け取れるのに、送れない。かと思えば、受け取れるのに送れない。

最初に試したのは、メーラーの再インストールだった。そしてアカウント入力。送れる。他の端末やPHSには送れる。

けれど、受け取れない。送信はできる。けれどアカウントを入れても、入れても、入れても、受け取れない。

根負けして、プロバイダに電話してみた。

すると、CDの中の接続プログラムがちょっとおかしいらしいのが分かった。接続の設定が中途半端になっていたようだ。雑誌に付いていたCDだから、壊れていることもある。

で、電話をかけながら、アカウントを手動で入力した。プロバイダのサポート氏の言う通りにやっているのだから、それが違うならもっと他のソフトか何かのせいだ。

一旦電話を切って、やってみた。

できない。やっぱりできない。どうしてだ。

OSが悪いのか。ほとんど使っていないのに、再インストール。けれどやっぱり受け取れない。送信済みのメールが溜まって行くばかりだ。

もう一度電話した。違う人が出たけれど、状況はすぐ把握して貰えた。そして試したのが、名称を変えて、最初から全部入れ直すことだった。

すると、できた。受け取れた。短いのばっかり。しかも腹が立っていたので、「これでも駄目か」「これで行かんのならワシは知らん」「ええいくそ」「何でだ」「いったい私が何をしたというのだ」とかいうのばかり。けれど嬉しい。歓喜の悲鳴。

間違って入力したアカウントを消すのには、最初に名称を新しくして全部始めから入力して、その名称を改めて使うことにしないと、変わったと認識してくれないのだった。

同じ名称の上からいくら書いても駄目。つまりシールの上からシールを貼っても無駄で、全部綺麗に剥がして別の新しいのにしないといけない、ということのようだった。

それはそのメーラーの癖というか、特徴なんですよ、と、サポート氏は誇らしげに言った。自分でそれに気づかなかったのは少し悔しかったが、嬉しかったのでそのプロバイダを使い続けることにした。

けれどトラブルは続いた。最も大きく、しかも人に迷惑をかけたのは、メーリングリストで永久凍土添付ファイルを送ってしまったことだった。

そのリスト内では添付もOKだったのだが、私は他のOSと互換性のない圧縮ソフトで凍らせた物を送りつけてしまった。今考えても冷や汗が出る。

誰もが自分と同じ環境とは限らない。それを全く考えに入れずに、ほいほい送ってしまった。ほとんどウイルスのようなものだ。

それで、雑誌を読みつつ、最低限必要なソフトをこつこつ入れて、ぽつぽつ使ってみることにした。あまり活用していなかったインターネットでも、サポートのページに行ってあれこれ読んでみる。

しかし、また落とし穴が。

起動の時間を短くするためには、機能拡張を最低限にすればよいと知って、やってみた。すると、OSのサイズが小さくなり、フリーズの回数が、がたんと減った。

嬉しかった。だから、あちこちのページを覗いて、消せそうなのはどんどん消していった。

すると、動かなくなった。

ファイルは、同じような物があっても無駄で、どちらか一方のだけ残しておけばいい。けれど、どちらも消すと、何もなくなるわけで、当然何もできなくなる。

それらは同じようなファイルのくせに名前が違って、あるページではAを消すようになっていて、また他のページではBを消せばよいということになっていた。

そして私は、その両方を消してしまった。結果、インターネットできなくなった。それが分かるのに、一週間かかってしまった。

出したらすぐに片づける癖は、パソコンでは良くない癖である。

ネットの中で見つけたページが面白かったので、メールを送ってみる。メーラーが立ち上がる。だからブラウザは終了させる。テキストエディタを立ち上げて、添付ファイルを添付して、送る。送り終わったのでメーラーは片づける。ちょっと思いついてブラウザをまた立ち上げて、テキストエディタを参考にいろいろやってみる。保存して、終了。メーラーは一度終わらせたけれど、送りたい物ができた。お絵描きソフトを立てて、描いた絵はコンバーターで処理した。添付しようとメーラーを立ち上げる。

フリーズ。

ソフトが使っていたメモリの枠は、終了された後にも残っている。それが積もると、動かなくなる。

机の上で本を広げることを想像するといい。本を閉じたり開いたりすると、ページ同士が重なったり引っかかったり大きな本の中に小さな本が入り込んだりしてしまうことがある。ひどいときは机から落ちてしまうこともある。

だから、なるべく大きな本を広げてから、小さな本を開ける。筆記用具を使うスペースは、ちょっと広めに取っておく。電話も側に置いて。

ソフトは、一度立ち上げたらむやみに出したり入れたりしないこと、最初にメモリの大きい物を立てるようにすること。

それが分かるようになるまで、また一週間かかってしまった。

フリーズの回数は、減ったと思う。

メモリを調整してくれるソフトを手に入れて試したら、細かいところはよく分からないが、メールの送受信がとても早くなり、ブラウザの動きもとても良くなった。ソフトの立ち上げ方に気をつけさえすれば、一度もフリーズせずにシステム終了することができる。

しかし、ホームページをテキストで作って見ようと思い立ってから、また新たなトラブルに遭遇することになった。

いいソフトがあると聞いて、喜んでダウンロードした。タグの入力がすぐにできて、色も変わるので分かりやすい。

なるほどなるほど。なのに、保存しようとすると、クラッシュする。しかも、機能が一部しか表示されなくなった。

たいていのトラブルは、メモリが原因である。そこで、ファイルを検索してみた。

あった。ヘルプのファイルが複数入っていた。ぽぽいぽいぽい。再起動。立ち上がった。きちんと機能している。保存もできた。

けれど、作ったファイルからソフトが立ち上がらない。エラーが出る。けれど全く起動しないというわけではないので、まあ、前もって立てておけばいいや、と、しばらく放っていた。

すると、それは良くない兆候だ、と、友人に忠告された。私にパソコンを勧めた人物である。そのソフトの在処も教えてもらった。いわば、師匠である。

どうやって直せばいいのかと尋ねたら、ふーん。私も友達に直してもらったし、一瞬で直ってしまったしなあ、覚えてないやあ、と、忠告した癖に呑気者なのだった。

ファイルの中にファイルがだぶって入っているせいだと分かるのには、1時間かからなかった。ずいぶん慣れてきた。ただし、どうしてそうなってしまったのか、は、ついに分からなかったが。

一度や二度フリーズしたからと言って、諦めてはいけない。

どうしてパソコン、というか。人それぞれの個性に合わせて使える、コンパクトなコンピューターだからだ。自分の使いたいように使えばいい。

けれど、どんな道具でも、自分の手に馴染むのには、時間がかかる。大き過ぎたり、小さ過ぎたりする道具をしっくりと指に当たるまで使いこなすのに、一週間や二週間で足ろうはずもない。

面白いもので、いらいらしながら使っているとフリーズしやすい。るんるんるんと叩いているとパソコンの方も機嫌がいい。

凍っても、すぐに溶ける。砕けても、すぐ直せる。

せっかく縁あって出会ったのだ。長く、気持ちよくつきあっていこうと思う。

 ・・追記。アカウントを全部やり直さなければならなかったのは、Mac版アウトルックエキスプレスの4.5でした。5になってからは、アカウントの設定はとても楽です。メモリの調整をしてくれるのはフリーズリムーバー、ホームページ作成ソフトはミミカキエディット。いずれもMac用です。

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