満腹マルガリータ


1行め メロン半分は種を取り、実を凍らせておく。

2行め ミキサーに凍ったメロン、レモン半分の果汁、キウイ一個、オレンジジュースカップ一杯、蜂蜜大さじ二杯、焼酎カップ半分を入れて混ぜる。

3行め グラスに注ぎ、スライスレモンを添える。

ほんとのマルガリータはテキーラ、コアントロー、ライムなんだそうだ。テキーラって家においてあったことないなあ。コアントローも。

カクテルに何が入ってるか、そんなに考えているわけではないけど、好きなのはある。

テキーラサンライズ、ブラッディメアリー、ジンバック、オールドファッション。甘いのが好き。だから、自分で作る時は思いきって甘くする。それも、果物の甘味で。

メロンは高いやつでなくていい。400円くらいの、タカミメロンがおいしかった。甘味がしっかりしていて香りに癖がない。キウイと相性がいい。マンゴーもいいかも。オレンジジュースでなければグレープフルーツでもいいかも。

とにかく、こつ。水を入れないこと。フローズンだと氷を入れるらしいんだけど、たぶん全然味が違うと思う。ジュースも100%のやつね。甘味はカルピスとかでもいいかも。

だけととにかく、水は入れないこと。

メロンと言えば。

中学の時。友達とメロンの話になった。

友達はメロンが好きで、御中元で貰ったりすると嬉しかったそうだ。だから四分の1ずつ大事に食べる。

だけどうっかり食べるのを忘れて、冷蔵庫の中で傷んでしまっていることがあって、そうすると、とっても悲しかったのだそうな。

彼女は一人っ子だった。彼女に尋ねられた。兄弟いたらそんなことないやんね?

私は三人兄弟だったから、普通ならお菓子やメロンなんかは取り合いなのだろうが、私は極めて小食で、妹達も小さかったから、親が分けてくれた分だけ大人しく食べていた。

ふーん。いいなあ。

食事そのものが苦痛だった時期もあった私には、彼女の「いいなあ」がちっとも分らなかったが、兄弟で一緒に食べるのがいいなあ、という意味だったのだと、最近になって分かった。

兄弟がいるからといって食卓は和やかでなく、おそらく私は怒りっぽい父のせいで食が細かったのだと思う。もちろん父は嫌いだったし、食べるのも嫌いだった。食べるところを見られるのも嫌いだった。

戦中戦後の食糧難で死にかけた父が食の細い私を心配したのは分る。けれど、食べるのを強制されるのは拷問に等しい。だから小学校では給食の時間が一番嫌いだった。

中学で何とか食欲が出始めて、実家を出て母の手料理を食べなくなってから、お腹を全く壊さなくなった。

そして、史上最も太った体で、五十歳になろうとしている。

私は、自分の食生活を自分で管理したかったのだ。

それこそが私にとって最強の「自由」だった。

だから、自分の食べるものを人任せにして平気な人を見ると、家畜みたいだな、と思う。

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