丸のちとろり


1行め 小麦粉1カップとベーキングパウダー小さじ半分くらいは合わせてふるっておく。冷水とめんつゆ小さじ半分くらいは合わせて1カップ半分弱、それに卵1個を合わせて、ふるった小麦粉をさっくり混ぜておく。

2行め ネギを刻む。アサツキでもいい。刻んだら1行目と合わせる。これで種のできあがり。タコも好きな大きさに刻んでおく。

3行め よく熱して油を引いたたこ焼き器に、種をたっぷり、あふれてもいいから流し込み、タコを入れる。縁が透明になってきたら竹串でひっくり返して、丸くして、できあがり。

小麦粉と水の分量は正確に計ろう。めんつゆはなるべくだったらストレートタイプがいい。なければ粉末のものでもいいし、こだわりたいのなら自分でだしを取ってもいい。ただし、暖かいと小麦粉がだまになるので、必ず冷たくしてから小麦粉は入れる。

本によってはネギでなくてキャベツになっている。私が持っているたこ焼き器の箱の裏にも、キャベツを入れろと書いてある。けれど実際、関西でたこ焼きにキャベツが入っているのを、一度も食べたことがない。どうも、それは関東風らしい。

白状するが、東京でたこ焼きを食べたことが一度だけある。それにはキャベツが入っていた。大きくて柔らかそうで、見た目はとても美味しそうだった。けれど、申し訳ない。とてもとても、不味かった。タコの味が薄い、生地が香ばしくない、なにしろソースが水っぽい。真夏に鉄板の前に立って焼いてくれた店員さんには悪いけれど、とても、不味かった。

というわけで、たこ焼きの生地にはキャベツは入れない方が良いと思う。

ベーキングパウダーについては意見が分かれるところだろう。つまりはふくらし粉を入れるわけで、人によっては邪道だと言う。確かに、素早くかりっ、となるけれども、すぐにぺたん、としてしまう。

でも、初めて焼きます、という人の場合は、入れた方が良い。形がしっかりするのでひっくり返しやすくなるのだ。

関西では、ほとんどの家庭にたこ焼き器がある。ない家を探す方が難しいそうだ。凄い家になると、一度に三十個焼ける、下にガスコンロが付いた、ほとんど業務用みたいなのを所有している場合もあるという。だから、家で一度もたこ焼きを焼いてるのを見たことがありません、という関西人を探すのも、ちょっと難しいようだ。

だから、関西人には説明は要らないだろう。けれど関東以北、九州四国沖縄の方。たこ焼きをひっくり返すのには、竹串が一番いい。手へのあたりが柔らかいし、生地にしっかり刺さる。目打ちを使って、と書いてあるのも時々目にするが、別にたこ焼き屋のチェーンをやるわけではないのだから、普通の竹串でやればよろしい。

そして、ひっくり返すときのこつ。

斜めに刺す。真っ直ぐ刺してもしようがない。焼けると生地が縮んで、生地と鉄板の間に隙間ができる。その隙間、つまり鉄板の表面から少しだけ下がったところ、焼き上がった生地の外側から斜め下へ、刺すのだ。

右利きなら右上から左下へ、左利きなら左上から右下へ。そして、底の生地までぷすっ、と刺さった手応えがあったら、若干手前に引きつけながら、下の方だけ持ち上げる。焼けていたらぽこん、と外れるはずである。

そして、自分の重みで勝手にひっくり返ってくれるから、さっと串を抜く。これで、真ん中の生焼けの生地にも、じゅーっ、と火が通る。はみ出した生地は、何事もなかったかのように手早く押し込んで、適当に転がしていく。綺麗な焦げ目をつけて、できあがり。

ああ、文章で説明するのは難しい。

でも、焦らず落ち着いてやれば、必ずできる。火力は中火よりやや弱い程度、油もきちんとひいたなら、まず失敗はない。穴が大きめの方が作りやすいから、今からたこ焼き器を買うなら大きめのを探そう。

ころころじゅー、ころころじゅー。転がすのが楽しくなったら、あなたももうたこ焼きの虜だ。

焼けたら食べる。すこぶる熱いので気をつけて。生地に味が付いているから、ソースはあまりつけなくてもいい。むしろ、つけない方が良いかも知れない。タコの他にも蒲鉾やチーズなんかを入れれば、ますます何もつけなくていい。

関西人はソースが好きだ。だからソース会社の競争も激しくて、焼きそばソースにお好みソース、お多福ソースにどろソース、美味しいソースがあれこれある。けれど関東などではあまりソースには人気がないらしい。

だから、美味しくないと分かっているソースを無理して買ってきて余らせて古くして捨ててしまうより、たこ焼きは下味をきちんと付けて焼いて、ポン酢やマヨネーズ、鰹節などで食べた方が良いのかも知れない。

ビールにも合うし、冷やしたワインなんかもいい。あまり食欲のない日に、ちょっとよそゆきのお皿に可愛らしく盛って、スティックサラダなんかと並べると、お洒落この上ない。

そして、タコが余ったら。オリーブオイルでピーマンと炒めて、ケチャップで味付けして。お弁当のおかずにもいける、そしてもちろん、おつまみにもぴったり。

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