三日


1行め 一日目。ひじきの煮付けを大量に作る。普通に食べる。当然残るので、冷蔵庫に入れておく。

2行め 二日目。残ったひじきにおからを入れて炊く。これもやっぱり残るので、冷蔵庫に入れておく。

3行め 三日目。もういい加減食べきってしまおう。鳥の挽肉、卵、片栗粉で扱いやすい堅さにしたら、ハンバーグみたいに丸く平たくして焼く。

ひじきの煮付けの作り方は、たいていの料理本には書いてあるだろう。別にお総菜のを買ってきてもいいのだ。で、余ってしまったらおからと混ぜる。

おからと混ぜるときには、一緒に人参の千切り、葱のみじん切り、胡麻なんかを混ぜると見栄えがしていい。特に葱は、薫りが立つのでなおよろしい。

挽肉は、鳥がいいと思う。私は、ぱらぱらのフレーク状に冷凍してある鳥の挽肉をよく使う。フレーク状なので解凍も素早いし、ちょっとだけ使いたいとき、例えばちょっとだけあんかけを作りたいとき、ちょっとだけスープの具にお肉の重みが欲しいとき、ちょっとだけサラダのソースにこくを出したいとき、などにはとても重宝である。

けれど、こういうのも三日が限度である。何故か。

三日、ということにしておいた方がいいのである。三日で食べきるつもりでも、外食の予定ができて一日延びてしまうことは往々にしてある。一週間というスタンスで考えたら最後、十日になり二週間になり、なんだかんだで他の料理も残ってしまい、冷蔵庫はたちまち残り物の墓場と化す。

一つの料理を三日で食べるというより、手の込んだ料理は三日に一回くらいにしておく、と考えた方がいいのかも知れない。

例えば、豚ロースの固まりで自家製の焼き豚を作った、としよう。

一日目は、それをメインにしてパーティ風メニューである。薄く切って綺麗に並べた焼き豚を野菜を敷き詰めた大皿に盛り、さっぱりしたスープもの、人参や大根の酢漬けなどを口直しに添えるといい。

二日目はこっそり取っておいた焼き豚の端っこでそぼろ丼。ご飯に乗っけて、好きな野菜と一緒に。もやしが特に美味しい。タレもちょっとかけて。実は自家製の焼き豚は、端っこがほろほろっ、として、一番美味しいのである。これは、作った人が独り占めしてもいいかも知れない。

三日目は残ったタレで野菜炒め。仕上げはオイスターソースかナンプラーをお好みで。

例えば、おでん。一日目は普通に、熱燗などと。ちなみに、おでんを作るときのこつ。厚手の鍋で、できれば保温力抜群のもので、一度煮立ったら火を止めて蓋をしてしばらく置いておき、冷めたかな、と思ったら再び暖め、ぐつぐつ、と十回くらい言ったらまた火を消してしばらく置き、を三回以上繰り返す。「しばらく」が、だいたい十分。鍋に布などを巻いて一晩保温、という手が一番いいらしいが、私はその日に食べたいのでぐつぐつ十回火を止めて十分待ち、で作っている。

二日目は、美味しいおだしでうどん。練り物から塩分が出るので、味付けに醤油や塩はほとんど必要ないのだ。

三日目はお味噌を入れてお味噌汁。まあ、残っていないことの方が多いけれど。

例えば、カレー。一日目は普通に食べる。私は一杯目には生卵をかける。子供。

二日目は、まあ、カレーを二日続きでは飽きるので、これは冷凍庫にして一週間先でもいいだろう、は、目玉焼きにかける。普通の目玉焼きよりも強火で焼いて、白身が固まったら半分に折って、両面をこんがり焼く。黄身は半熟。ちょっと難しいけれど、成功すると偉くなった気がする。千切りの野菜をまぶすと、立派に一品になる。

それでも残ったら、ご飯と一緒に煮る。カレーおじや、ではなくて、リゾットだということにしよう。仕上げに牛乳を入れると美味しい。かりっと香ばしいパンや紅茶とともに、遅い昼食を楽しむ。

いやあ、お洒落だ。でも、いつもこううまくいくわけではない。うまく残らないのだ。ぺろっと全部、食べてしまうのだ。

まあ、毎度毎度大量に残り物が出るよりはいい。残るのも残すのも、実は好きではないのだ。出されたものは食べるべきで、食べられる分だけを出すべきで。三日の裏技は、やむを得ず残ってしまう時に出せばいいのだ。

かくしてまた再び、夕食の時間がやってくる。さて、何にしようか。

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