花束1行め 胡瓜を乱切りにし、塩をまぶして15分ほどおき、さっと洗って水を切る。 2行め キムチの素をまぶす。 3行め できあがり。 ご存じ、オイキムチである。韓国語でオイは胡瓜の意味。 「キムチの素」は、市販の瓶に入ったのでもいいと思う。コチュジャンなどもいれるとさらに美味しくなるだろう。 けれど、どうせなら素を自分で作ってみたい。 で、作ってみた。キムチの作り方の本はいろいろ出ている。図書館にもおいてある。メールで作り方を教えて貰ったりもした。 本によって作り方も違うし、人によっても違う。ご飯をお粥にして入れる、というのや、上新粉を入れるというのもあった。蜂蜜が入ったり入らなかったり、イカの塩辛をアミエビの代用にする、のも。 そして、試作と試食(無理矢理させた場合もあったり)を重ねた結果、ついに大宮式のキムチの素の完成を見たのである。 大宮式キムチの素に欠かせないもの。 まずは、林檎である。とりあえず半分。皮をむき芯を取り、適当に切ってミキサーに入れよう。おろし金で摺ってもよい。 次に玉葱。これも半分だ。摺りおろしてもよいけれど、林檎と一緒にミキサーにかけると楽。 そしてご飯。お茶碗に軽く一杯分、半カップの水で少し煮て、林檎と一緒にミキサー。 次に、韮である。韮は値段の上下が激しい野菜である。二束百円だったりしたらすかさずゲットしよう。必要量は一束。五センチくらいに切って塩をふる。水気が出たら絞って、さっと洗う。 さらに、人参。朝鮮人参ではない、普通の西洋人参。小降りのを一本。韮と同じ長さに切って、これも塩をふっておく。韮と同じ、絞って洗う。 そして生姜。ひとかけ。刻んでもいいし、摺ってもいい。 すり下ろしあるいはミキサー組が林檎と玉葱とご飯と生姜、切って塩をふって絞る組が韮と人参。 これが揃ったら、両方を一緒にする。ぽてぽてっ、として、そのまま食べても美味しい。そこに、好きなだけ、韓国産の唐辛子を入れる。 これで、基本はできあがりである。 白菜も高い野菜である。特に夏は売ってなかったりする。だから、煮物や鍋物で残ったときでかまわない。柔らかい葉先や芯に近い方を千切りにして入れると、歯触りが更に良くなる。 ご飯を水で柔らかくする時に加える水を、煮干しのだしにしてもいいかもしれない。けれど、だしにしても、正直あんまり味が変わったという気はしない。量が少ないからだろう。昆布茶を入れる、という方法もあるらしいが、やったことがないので、よく分からない。 アミエビ。入れてみたいが、これは最も高価で、百グラムで五百円近くする。だいたい、ほとんど売られていない。それでイカの塩辛の小さいのを買って入れることもある。やっぱり、ちょっと高いけど。 蜂蜜は、私は入れるが、好きでない人も多いだろう。入れると、結構はっきり味がするのだ。だからその辺はお好みである。
と、ここまで読んで、大事なものを忘れているぞ、と思った人は偉い。 大蒜(にんにく)が、入っていない。 韓国料理は、全部が全部辛くて赤いわけではない。野菜の和え物であるナムルなどは、さっぱりと白い。けれど、日本の和え物と違うのは、必ず大蒜が入っているということである。 私も最初は、摺りおろした大蒜を入れていた。けれど、どうにもよくないのである。 大蒜が強すぎて、お腹、と言うか、腸が痛くなるのである。ひりひり、と。 大宮式の完成を見るまでに、私自身もかなりたくさん試作品を食べた。大蒜は味も香りも大好きなので、必ず入れていた。 けれど、どうにも、刺激が強い。唐辛子のせいではない。韓国産の代わりに日本ので作ったこともあって、そのときは唐辛子をほとんど入れなかったので、胡麻和えみたいになった。それでも、刺激が強い。 で、よく考えてみた。 韓国産の唐辛子は、ご存じの通り、日本産のものに比べて辛みが少なく、甘みが多い。辛みは半分で甘みは倍、というが、実際のところ、韓国産のものを倍入れても日本の辛さには遠く及ばない。おそらく、甘みの強さが辛さを和らげているのだろう。私は実は辛いものには弱い方なのだが、それでも韓国産のものなら直接なめることができる。日本のでそんなことしたら、えらいことになる。 だが、どちらももともとは同じ唐辛子なのである。原産は南アメリカ、韓国には日本から伝わったのである。たぶん、土の性質に依るのだろう。 と、いうことは。大蒜も、日本の方が倍辛い、のではないだろうか。 大陸で育つと、辛いものも辛くなくなるのではなかろうか。カリフォルニア産の大蒜は辛みが少ない、と、ガーリックパウダーの瓶に書いてあった。韓国もカリフォルニアも大陸の半島である。 それに。韮と大蒜は同じユリ科である。さらに言うなら、生姜はショウガ科、唐辛子はナス科、林檎はバラ科、米はイネ科。白菜はアブラナ。 百合の花も薔薇の花も、ともに香りが素晴らしい。バラ科の仲間には梅に桃に桜。茄子の仲間には美味しい野菜が多いし、生姜の仲間は地面の中から人間の健康を支えてきた。代表的なのはターメリック。イネ科の持つ美味しい澱粉質、アブラナの油が食文化を支える。 キムチの素は、香りの花束なのである。同時に、栄養の花束でもある。 胃の弱い私は、強い香りの国産生大蒜の代わりに、ガーリックパウダーを添える。韮が、香りを補ってくれるから。そのおかげなのか、今年の花粉症は軽かった。 |
Copyright (C) 2000 shishow